ユーオス・グループ様はソフトウェア企業、ハードウェア企業、ITサービスなど業態の異なる企業の集まりとして、世界でも類を見ないコミュニティーです。さまざまな業種・業態のお客様のアプリケーション開発から運用サポートまでを手掛け、ITに精通されていないお客様にもわかりやすく情報をお伝えするといったきめ細やかなサポートとともに、会員企業同士が協力しながら地域のお客様を支えられています。「競業の中にも協業あり」という考え方のもとで互いの成長を支え合う姿はまさに「エコシステム」の先駆けであり、メンバー同士の「共創」もいち早く実現されていたコミュニティーであると思っております。また、「ITサービスの提供を通して、社会の発展に貢献する」という理念を掲げ、業務のみならず、会員の皆様が各地域にてボランティアとして環境保護や学生向けIT教室などの社会貢献活動にも力を入れられていることも大変素晴らしく、皆様の熱い志に頭が下がる思いでおります。
振り返れば、日本IBMの中小型製品分野における歴史は、ユーオス・グループ様の発展と共にありました。1988年にAS/400を発表した際には、全国の会員の皆様に中堅企業のお客様を中心とする市場開拓を牽引いただき、その後もIBM iシリーズのパッケージ開発やお客様向けアプリケーションの開発など、多くのシステム・インテグレーション・プロジェクトを通して協業させていただいてまいりました。また、さまざまな業界・業種に精通された企業様から日本IBMの営業担当が業界知識をご教授いただいたり、お客様に近いパートナー企業として弊社の取り組みへのアドバイスやご提案を頂戴したりと、厳しくかつ温かい視点でIBMの成長を支えていただいております。現在もIBM iの領域でお客様のデジタル変革を推進していくため、IBM iと連携するアプリケーションの開発を一緒に進めていただいている他、Windowsパッケージを対象としたコンテナ化やソリューション開発など、新たな領域での協業も始まっています。日頃の多大なるご協力に深く御礼を申しあげると共に、今後もぜひ日本のデジタル変革を加速させるべく協業の幅を広げていきたい所存です。
今、世界は前例のない変化を乗り越え、新しい前提のもとに変革が始まろうとしています。日本もデジタル人材の早期育成や環境問題への対応などの社会課題に取り組み、国際競争力を高めていくことが求められています。そのためにはIT業界が自らイノベーションを起こし、最新テクノロジーを活用した「共創」による新たなビジネスモデルへと変革していくことが急務と考えています。この「共創」とは、お客様のIT部門、事業部門、パートナー企業様を始めとしたITベンダーなど、あらゆる立場の方がそれぞれの知見を持ち寄り、テクノロジーを活用してその場で共に創り、また柔軟かつ迅速に変更を加えていく、という進め方を指しています。ITの専門家以外の幅広い方にもスキルが蓄積され、日本社会全体のデジタル化の加速につながると確信しております。日本IBMではこの共創モデルを推進していくため、オープンなテクノロジーを活用した業種別プラットフォームの提供や、共創を進める場として日本の各地域に「地域DXセンター」を設立して地域の人材育成を図るなど、さまざまな形で日本のデジタル変革のお役に立ちたいと考えております。
2019年、私が日本IBMの社長に就任した際に「最先端のテクノロジーと創造性をもって、お客様とともに、仲間とともに、社会とともに、あらゆる枠を超えて、より良い未来づくりに取り組む企業グループ」でありたい、というビジョンを掲げました。この社会とともにありたいという思いはIBMの創業時から受け継がれた理念であり、ユーオス・グループ様の理念である「ITサービスの提供を通して、社会の発展に貢献すること」とも通じるものがあります。今後も日本社会の発展に少しでもお役に立てるよう、ユーオス・グループ会員の皆様から引き続き忌憚のないご意見をお寄せいただきながら、よりよい未来のための共創を継続させていただけますと幸いです。